学位論文が満たすべき水準

哲学専攻

博士前期課程

修士論文には,論文全体の主張が必ずしも独創的でなくとも,考察の対象とされている領域において過去の研究成果が十分に調査され消化された上で作成されていること及び研究上の倫理を遵守した上で作成されていることが求められる。論文の作成に当たっては,斯学に合致した学問的研究方法,明快な論述,適切な論文構成を取っていることが求められ,学内の学術誌に公表できる水準が理想とされる。

博士後期課程

博士論文には,哲学研究者として自立できるための,高度な専門的知識と能力とが確認される研究であることが求められる。具体的には,修士論文作成時に要求された種々の学問的要求に加えて,斯学の発展に貢献しうること並びに公表に値する独創性が示されていることが求められる。そのため,本専攻における博士論文の提出基準は,提出前に全国学会誌又は国際学会誌に博士論文の基礎となる論文一編以上の掲載が決定していることを条件とする。

史学専攻

博士前期課程

    • 1 問題意識が明確で,テーマ設定が適切である。

    • 2 先行研究が正確に理解され,また,十分に批判的に検討されている。

    • 3 史・資料に基づいた実証的研究である。

    • 4 論文の構成が明解で,論理展開に整合性・一貫性がある。

    • 5 独創的知見を備えている。

    • 6 論文の文章表現が的確であり,目次・注記・参考文献表などの体裁が整っている。

日本史専攻・外国史専攻

博士後期課程

    • 1 問題意識が明確で,テーマ設定が適切である。

    • 2 先行研究の批判・検討が網羅的,かつ,的確である。

    • 3 史・資料の蒐集と批判的検討が十分,かつ,的確になされた実証的研究である。

    • 4 論文の構成が明解で,論理展開に整合性・一貫性がある。

    • 5 当該分野における独創的,かつ,先端的な研究であり,被審査者の自立した研究者としての能力を証明するものである。

    • 6 論文の文章表現が的確であり,目次・注記・参考文献表などの体裁が整っている。

国文学専攻

博士前期課程

    • 明確な研究テーマと問題意識が認められ,テーマ追究のために必要,かつ,適切な方法を用いて論考し,修士論文としての形式が整えられている。

    • 先行研究を十分に精査検討し,文献・資料を広く調査参照し,的確な引用やデータ記載がなされ,研究倫理も遵守されている。

    • 全体にわたって論理的・実証的で明晰な考察を展開し,十分な論考を経て結論に至っている。

    • 研究分野で評価される新たな学術的見解を示し,研究の進展に貢献している。

博士後期課程

    • 学術的意義のある研究テーマと問題意識を明確に示し,学位論文にふさわしい方法と形式がとられている。

    • 先行研究を十分に精査検討し,文献・資料を広く調査参照し,的確な引用やデータ記載がなされ,研究倫理も遵守されている。

    • 全体にわたって論理的・実証的で明晰な考察を展開し,十分な論考を経て結論に至っている。

    • 研究分野で評価される新たな学術的見解を示し,研究の進展に貢献している。

    • 研究論文5編程度の内容で構成され,その中に全国的な学会の,査読がある機関誌に掲載された研究論文1編以上が含まれている(なお,修士論文そのままの論文は認められない)。

中国学専攻

博士前期課程

    • 1 研究テーマが適確に設定されていること。

    • 2 先行研究や関連資料が包括的に把握されていること。

    • 3 研究方法が具体的に提示されていること。

    • 4 学位論文にふさわしい形式・体裁が備わっていること。

    • 5 結論に至る論旨が論理的に一貫していて明快であること。

    • 6 専門分野において何らかの学術的貢献が認められること。

    • 7 研究倫理を踏まえ,指導教員との間で十分な議論を重ねたものであること。

博士後期課程

    • 1 研究テーマが適確に設定されていること。

    • 2 先行研究や関連資料が包括的に把握されていること。

    • 3 研究方法が具体的に提示されていること。

    • 4 学位論文にふさわしい形式・体裁が備わっていること。

    • 5 結論に至る論旨が論理的に一貫していて明快であること。

    • 6 専門分野において大きな学術的貢献が認められること。

    • 7 研究倫理を踏まえ指導教員との間で十分な議論を重ねたものであること。

英文学専攻

博士前期課程

    • 1 研究テーマの設定が明確で適切になされていること。

    • 2 研究対象分野における先行研究が十分に踏まえられていること。

    • 3 先行研究を理解し,これを踏まえた上での論証・実証がなされていること。

    • 4 言語表現,論文構成が的確で,論理展開が明確であること。

    • 5 独創性を備えた研究であること。

    • 6 研究計画の立案及び遂行,研究成果の発表並びにデータの保管に関し適切な倫理的配慮がなされていること(データの改竄,捏造,剽窃等の研究不正を行っていないこと)。

博士後期課程

    • 1 研究テーマの設定が明確で適切になされていること。

    • 2 研究対象分野における先行研究が十分に踏まえられていること。

    • 3 先行研究を理解し,これを踏まえた上での論証・実証が十分にされていること。

    • 4 言語表現,論文構成が的確で,論理展開が明確であること。

    • 5 顕著な独創性を備え,当該分野の学術研究の発展に何らかの貢献をなす研究であること。

    • 6 研究計画の立案及び遂行,研究成果の発表並びにデータの保管に関し適切な倫理的配慮がなされていること(データの改竄,捏造,剽窃等の研究不正を行っていないこと)。

ドイツ文学専攻

博士前期課程

    • 1 テーマの設定が適切であること。

    • 2 先行研究を踏まえ,議論されていること。

    • 3 方法論,論文構成が的確で,論旨に一貫性があること。

    • 4 引用,データ等に関する倫理的配慮がなされていること。

    • 5 専攻が定める発表会において修士論文の内容に関する中間発表を行うこと。

博士後期課程

    • 1 テーマの設定が適切であり,当該研究領域に新たな知見をもたらすものであること。

    • 2 国内外の先行研究を踏まえ,十分な議論がなされていること。

    • 3 方法論,論文構成が的確で,論旨に一貫性があること。

    • 4 引用,データ等に関する倫理的配慮がなされていること。

    • 5 博士論文提出に当たっては,あらかじめ定められた期限までに博士論文作成計画書を提出し,審査の上,博士論文提出予備資格を取得すること。

社会学専攻社会学コース

博士前期課程

    • 1 問題設定
        問題設定,中心的主題設定などが学問的に意義深いか。

    • 2 研究の位置づけ
        論文主題を研究する上で,必要不可欠と認められる先行研究や資料などが客観的な立場から参照され,主題を展開する上で批判的な検討が行われているか。

    • 3 研究方法及び理論的枠組み
        当該研究を進める上で妥当で合理的な方法及び理論的枠組みが用いられているか。

    • 4 論文構成
        論文の全体にわたって採用された方法や理論に則り,主題を展開する上で一貫した論理構成が行われているか。

    • 5 データ(情報)の妥当性と適切さ
        量的社会調査や質的な聞き取り及び収集された資料が,論文主題との関連で必要十分な形で収集されており,データ(情報)の処理も適切に行われているか。

    • 6 論文の独創性
        調査分析及び資料検討の結果得られた知見が,学問的な意義及び価値がある内容となっているか。

    • 7 論述の明確さ
        論文表現や使用された概念などが,学術論文にふさわしいレベルに達しているか。記述の仕方は明解か。参照された文献や資料の取り扱いは,学術論文に妥当する形式を満たしているか。

    • 8 学術的貢献
        論文の成果が社会学という学問領域における知見を増すものであるか又は学問の進展にとって基礎となるようなデータや情報を提供できているか。

    • 9 研究倫理
        論文の主題,研究方法,論述内容など論文の全体にわたって,丁寧な倫理的な配慮が行われているか。必要な場合,大学の研究倫理委員会の倫理審査を受け,承認を得ているか。

博士後期課程

    • 1 問題設定
        問題設定,中心的主題設定などが学問的に意義深いか。

    • 2 研究の位置づけ
        論文主題を研究する上で,必要,かつ,十分と認められる先行研究や資料などが客観的な立場から参照され,主題を展開する上で批判的な検討が行われているか。

    • 3 研究方法及び理論的枠組み
        当該研究を進める上で妥当で合理的な方法及び理論的枠組みが用いられているか。

    • 4 論文構成
        論文の全体にわたって採用された方法や理論に則り,主題を展開する上で一貫した論理構成が行われているか。

    • 5 データ(情報)の妥当性と適切さ
        量的社会調査や質的な聞き取り及び収集された資料が,論文主題との関連で必要十分な形で収集されており,データ(情報)の処理も適切に行われているか。

    • 6 論文の独創性
        調査分析及び資料検討の結果得られた知見が,該当する研究分野に影響を与えうる独創的なものとなっており,学問的な意義及び価値がある内容となっているか。

    • 7 論述の明確さ
        論文表現や使用された概念などが,学術論文にふさわしいレベルに達しているか。記述の仕方は明解か。参照された文献や資料の取り扱いは,学術論文に妥当する形式を満たしているか。

    • 8 学術的貢献
        論文の成果が社会学という学問領域における知見を増すものであるか又は学問の進展にとって基礎となるようなデータや情報を提供できているか。また,広く学術的に共有できるような一般性,
        普遍性をもったものとなっているか。

    • 9 研究倫理
        論文の主題,研究方法,論述内容など論文の全体にわたって,丁寧な倫理的な配慮が行われているか。必要な場合,大学の研究倫理委員会の倫理審査を受け,承認を得ているか。

社会学専攻社会福祉学コース

博士前期課程

    • 1 研究テーマの設定
        研究者の明確な問題意識により研究テーマが適切に設定され,社会福祉の理念・政策・実践との関連付けは明確で,社会福祉学として意義深いか。

    • 2 研究の位置づけ
        先行研究が十分に参照され,的確にその知見が踏まえられ,主題を展開する上で批判的検討がされているか。

    • 3 研究方法及び理論的枠組み
        研究目的に照らして,適切で合理的な方法及び理論的枠組みが用いられているか。

    • 4 論文構成
        論文の構成や,論理の展開は適切であるか。

    • 5 研究データについて
         データ(文献,資料,調査等)を,論文主題について十分に収集,吟味されており,データ処理,分析・結果は適切・妥当であるか。

    • 6 論文の独創性
        論文は,独創性を備えた研究であり,学問的な意義及び価値がある内容であるか。

    • 7 論述の明確さ 
        論理は明快で,学術論文の水準に達しており,結論に至る議論の展開が十分な論拠に支えられ,論理的であるか。

    • 8 学術的貢献
        論文は,社会福祉学の学術研究の進展に貢献し,新しい知見が含まれているか。

    • 9 研究倫理
        研究遂行の全般にわたって,研究倫理上の問題はないか。必要な場合は,研究倫理委員会の審査を受け,承認を得ているか。

教育学専攻教育学コース

博士前期課程

(評価項目)

    • 1 国内外の研究動向及び先行研究の把握に基づいたテーマ設定が適切であり,教育学分野における当該研究の意義や位置づけが明確であること。

    • 2 先行研究が十分に検討・吟味し,かつ,史・資料,調査に基づいた実証研究による教育学分野の発展に寄与するオリジナルな研究成果があること。

    • 3 研究公正についての十分な知識に基づき,出典記載や引用が適切になされ,加えて研究結果の信頼性が十分に検証されていること。

    • 4 論文構成が的確で,論理展開に整合性と一貫性があり,結論が客観的な根拠に基づいていること。

    • 5 研究の背景,目的,方法,結果,考察,結論等が,当該分野の修士論文に相応しい形式にまとめてあること。

    • 6 論文の言語表現が的確であり,目次・註・付録など修士論文に関する体裁が整っていること。

博士後期課程

【教育学】
(評価項目)

    • 1 国内外の研究動向及び先行研究の把握に基づいた独創的知見を有するテーマ設定であり,教育学分野における当該研究の意義や位置づけが明確であること。

    • 2 既存の研究成果を適確に踏まえ,批判的に継承しつつ,史・資料,調査に基づいた実証研究による教育学分野の発展に寄与できるオリジナルな研究成果であること。

    • 3 研究公正についての十分な知識に基づき,出典記載や引用が適切になされ,加えて研究結果の信頼性が十分に検証されていること。

    • 4 論文構成が的確で,論理展開に整合性と一貫性があり,結論が客観的な根拠に基づいていること。

    • 5 研究の背景,目的,方法,結果,考察,結論等が,当該分野の博士論文に相応しい形式にまとめてあること。

    • 6 論文の言語表現が的確であり,目次・註・付録など博士論文に関する体裁が整っていること。

(評価基準)

    • 1 学位論文において,教育学分野における新たな学術的知見が含まれる。

    • 2 自立した教育学研究者として研究活動を行うことのできる高度な研究能力を有する。

教育学専攻体育学コース

博士前期課程

(評価項目)

    • 1 体育・スポーツ科学における国内外の研究動向及び先行研究の把握に基づいて,研究の意義や位置づけが明確に述べられていること。

    • 2 研究の内容がスポーツ実践又は体育・スポーツ科学にとって有意義であり,オリジナルな研究成果を有すること。

    • 3 研究公正に関する知識を有し,研究が適切に遂行され,倫理的配慮がなされていること。

    • 4 体育・スポーツ科学分野の修士論文として相応しい形式にまとめられていること。

(評価基準)
学位論文が上記の評価項目について妥当と認められ,かつ,最終試験で合格と判定されること。

博士後期課程

【体育学】
(評価項目)

    • 1 体育・スポーツ科学における国内外の研究動向及び先行研究の把握に基づいて,研究の意義や位置づけが明確に述べられていること。

    • 2 研究の内容がスポーツ実践又は体育・スポーツ科学にとって有意義であり,博士論文に相応しいオリジナルな研究成果を有すること。

    • 3 研究公正に関する知識を有し,研究が適切に遂行され,倫理的配慮がなされていること。

    • 4 体育・スポーツ科学分野の博士論文として相応しい形式にまとめられていること。

(評価基準)
学位論文が上記の評価項目について妥当と認められ,かつ,最終審査によって体育・スポーツ科学分野の自立した研究者として研究活動を行うに必要な高い研究能力を有することが確認され,合格と判定されること。

心理学専攻心理科学コース

博士前期課程

    • 1 学位申請者が主体的に取り組んだ研究内容であること。

    • 2 心理学分野の発展に寄与する研究テーマが適切に設定されていること。

    • 3 国内外の先行研究が十分に踏まえられていること。

    • 4 研究目的が明確に示されていること。

    • 5 研究目的に相応しい,研究デザイン・研究方法・分析方法であること。

    • 6 論文構成が的確で,論理展開が明快に追え,論考が十分であること。

    • 7 引用が適切で,引用文献リストが整えられていること。

    • 8 論文の基本的体裁が日本心理学会の「執筆・投稿の手引き」に準拠したものであること。

    • 9 関係学協会で指摘されている研究倫理面の配慮が適切,かつ,十分になされていること。

心理学専攻臨床心理学コース

博士前期課程

    • 1 学位申請者が主体的に取り組んだ研究内容であること。

    • 2 臨床心理学分野の発展に寄与する研究テーマが適切に設定されていること。

    • 3 国内外の先行研究が十分に踏まえられていること。

    • 4 研究目的が明確に示されていること。

    • 5 研究目的に相応しい,研究デザイン・研究方法・分析方法であること。

    • 6 論文構成が的確で,論理展開が明快に追え,論考が十分であること。

    • 7 引用が適切で,引用文献リストが整えられていること。

    • 8 論文の基本的体裁が日本心理学会の「執筆・投稿の手引き」に準拠したものであること。

    • 9 日本心理臨床学会の「心理臨床学研究論文執筆ガイド」をはじめとして,関係学協会で指摘されている倫理的配慮が行われていること。

心理学専攻

博士後期課程

    • 1 学位論文の基礎となる学術論文(学位申請者が筆頭著者)の内容が適切に含まれていること。

    • 2 学位申請者が主体的に取り組んだ研究内容であること。

    • 3 心理学分野の発展に寄与する博士論文として相応しい新規性あるいは独創性を有していること。

    • 4 関連分野の国内外の研究動向及び先行研究の把握に基づいた心理学分野における当該研究の意義や位置づけが適切に述べられていること。

    • 5 研究目的が明確に示されていること。

    • 6 研究目的に相応しい,研究デザイン・研究方法・分析方法であること。

    • 7 論文構成が的確で,論理展開が明快に追え,論考が十分であること。

    • 8 引用が適切で,引用文献リストが整えられていること。

    • 9 論文の基本的体裁が日本心理学会の「執筆・投稿の手引き」に準拠したものであること。

    • 10 関係学協会で指摘されている研究倫理面の配慮が適切,かつ,十分になされていること。