The Interest in Japan and the Japanese Language in Russia-ロシアにおける日本と日本語に対する興味-
2021.11.20
GREC
海外の先生方による連続講演会-第3回-
ナジェージダ・ウエインベルグ先生(ロシア・イルクーツク大学准教授)
「The Interest in Japan and the Japanese Language in Russia-ロシアにおける日本と日本語に対する興味-」
11 月20 日(土)16時30分から18時30分(日本時間)まで、日本大学文理学部人文科学研究所総合研究「ICTを利用した文理学部国際化」(研究代表者 英文学科 閑田朋子)主催、文理学部国際交流委員会、GREC外国語教育部門共催により、ナジェージダ・ウエインベルグ先生(ロシア・イルクーツク大学准教授)の講演「The Interest in Japan and the Japanese Language in Russia-ロシアにおける日本と日本語に対する興味-」がZoom上で行われました。
ナジェージダ・ウエインベルグ先生はロシアのイルクーツク大学で日本語を勉強した後、モスクワ大学で学位を取り、母校であるイルクーツク大学で日本語や日本文化を教えている研究者です。日本留学の経験もあり、最近では2014年から15年にかけて1年間研究員として東京外国語大学に滞在し、日本とロシアのビジネスにおける日本語についての研究を行っています。今回はロシアの大学での日本語学習者のことや、ナジェージダ先生のビジネス関係の通訳の経験や日本滞在経験を元に、日本とロシアのビジネスにおけるコミュニケーション上の問題などを英語で講演してくださいました。ナジェージダ先生はもちろんロシア語が母語で、日本語が専門であることから、日本語もお上手ですが、それに加え英語も堪能で、英語による論文も多数執筆していらっしゃいます。今回は英語が母語でない研究者の講演という意味でも特筆すべきものだと言えます。お話になる英語はとてもわかりやすく、参加者も聞き取りやすかったという感想がありました。
ナジェージタ先生
この講演には学部の学生さんを中心に、40名近くが参加しました。ロシアでの日本語教育というあまりなじみのないテーマではありましたが、好奇心を持って参加してくれた学生さんも多句、満足度も高かったようです。
ナジェージダ先生のご講演の内容は、大きく三つに分けることができます。一つは日露関係の歴史、とロシアにおける日本語教育の「歴史」です。さらに、現在のロシアにおける日本語教育の現状、そして日本人とロシア人の言語行動の違いについてついてです。
イルクーツクはロシアの中でもシベリア地方にあり、有名なバイカル湖のほとりにあります。イルクーツクでは日本の江戸時代にもロシアに漂流した日本人が日本語を教える学校で教えていたということです。大黒屋光太夫の話は小説や映画になっています。現在、世界の多くの地で日本語を学習している人がたくさんいますが、ロシアでも日本語学習は盛んで、首都のモスクワや大都市のサンクトペテルスブルグだけでなく、地方都市でも日本に興味を持ち、日本語を学習する人の多いことに驚かされます。日本のアニメに興味を持っていたり、日本に旅行したいと考えて日本語を勉強しています。
日本語学習は、日本の文化・習慣の理解と密接に結びついており、言葉を学ぶことは文化を学ぶことであるということに気がつきます。特に日本人の「礼儀正しさ」からくる曖昧さは、ロシアの人々を混乱させます。「ちょっとむずかしい」という言葉が、実はお断りの言葉であることになかなか気がつかなかったというロシア人もいます。日本では礼儀正しくあろうとはっきりとものを言うことを避けがちですが、ロシアでは率直に、本心を偽りなく、伝えることが大切なのです。また、叱ったり、文句を言う前に少し褒め言葉を口にする日本人の習慣はロシア人には理解しにくいようです。
大学で日本語を教えているナージャ先生は、彼女の学生たちが、日本に来て着物ミュージアムを尋ねたいと思っていることなどを紹介し、日本の文化をロシアの人々に紹介し、共有することに喜びを感じるとおっしゃっていました。
講演会資料:写真はナジェージタ先生と本講演会司会の坂本惠先生
講演会は英語で行われましたが、先生の紹介、講演後の要約、質疑応答は主に日本語で行われました。講演後には、再び英語を用いて、文理学部国際交流委員長十代健先生(物理学科)からご挨拶がありました。そして講演会が終わってからは、関心のある学生さんたちがナジェージタ先生との会話を楽しみました。ロシア語で話した学生さんもいて、和気藹々の雰囲気で講演会を終わりました。
文責 文理学部教授 坂本惠(総合文化研究室)
講演会最後にとった記念写真の一部